日本三大庭園とは?見どころやベストシーズンに庭園を楽しむためのマナーも

エリア・季節特集

2025/05/31

最終更新日:2025/05/31

日本三大庭園とは?見どころやベストシーズンに庭園を楽しむためのマナーも

目次

    本記事では日本の美を象徴する「日本三大庭園」である、兼六園・後楽園・偕楽園の見どころや四季折々の魅力、訪れるのに最適な時期、そして庭園を楽しむ際のマナーについてご紹介します。

    それぞれの庭園が持つ魅力的な世界を体感してみてください。

    日本三大庭園(日本三名園)とは

    日本三大庭園(日本三名園)とは

    日本三大庭園とは、石川県金沢市の「兼六園」、岡山県岡山市の「後楽園」、茨城県水戸市の「偕楽園」の三つの名園を指します。いずれも大名や藩主によって造られ、日本庭園の美と思想を今に伝える文化遺産です。

    兼六園は四季の風情と多彩な景観、後楽園は広々とした池泉回遊式庭園、偕楽園は梅の名所として知られています。それぞれ異なる個性を持ち、日本庭園の魅力を代表する存在です。

    偕楽園(茨城県水戸市) 

    偕楽園(茨城県水戸市) 

    日本三名園のひとつ、偕楽園は、1843年に水戸藩9代藩主・徳川斉昭によって造られました。

    学びの場「弘道館」に対し、心身を休める場として開かれた庭園で、「偕楽園」という名には、“民とともに楽しむ”という願いが込められています。(由来は中国古典『孟子』より)

    園内には約100種3,000本の梅が植えられ、早春には「水戸の梅まつり」が開かれ、全国から多くの人が訪れます。

    偕楽園の見どころ

    偕楽園の見どころを見ていきましょう。  

    好文亭

    偕楽園の象徴ともいえる「好文亭」は、徳川斉昭の別墅として建てられた趣深い建物です。斉昭公が自ら設計に関わり、茶室としての機能だけでなく、梅の花を愛する多くの人々が集い、交流する場としての役割を担っていました。

    二層三階建てのこの建物からは、園内はもちろん、水戸市街や千波湖、そして遠くには筑波山も望むことができ、四季折々の景観を存分に楽しめます。

    水戸の六名木

    偕楽園(茨城県水戸市)には、約100品種・3,000本の梅が植えられています。

    その中でも特に花の形、香り、色が優れている「白難波」「江南所無」「虎の尾」「月影」「花香実」「江梅」の6品種が「水戸の六名木」として知られています。

    孟宗竹林(もうそうちくりん)

    孟宗竹林は、偕楽園の表門をくぐった左手に広がる約3,800平方メートルの竹林で、約1,000本の孟宗竹が整然と立ち並びます。これは、江戸時代の天保14年(1843年)に、弓の材料として最適な孟宗竹を京都から移植したものです。

    通常は立ち入り禁止ですが、特別なイベント時には開放され、訪れる人々に癒しの空間を提供しています。

    吐玉泉(とぎょくせん)

    川斉昭公が好文亭の茶室「何陋庵(かろうあん)」での茶会用に設けた泉で、かつては眼病に効くとも伝えられ、大切にされてきました。

    「吐玉泉」の名は、玉のように澄んだ水を絶え間なく吐き出す様子に由来し、儒学の影響を受けた命名ともされています。水がこんこんと湧き出る様子は、自然が生み出す清々しさを体感させてくれます。

    偕楽園のベストシーズン

    偕楽園のベストシーズンは、約100品種・3,000本の梅が咲き誇る2月中旬から3月中旬です。「水戸の梅まつり」も開催され、多くの観光客で賑わいます。

    アクセス情報

    項目 詳細
    住所 茨城県水戸市常磐町1-3-3
    電話番号 029-244-5454
    アクセス - JR偕楽園駅下車より徒歩約7分
    - JR常磐線水戸駅より水戸駅北口偕楽園行きバスで約20分
    - 常磐自動車道水戸ICより車で約20分
    開園時間 - 偕楽園本園
        2月中旬~9月30日/6:00~19:00
        10月1日~2月中旬/7:00~18:00

    - 好文亭
        2月中旬~9月30日/9:00~17:00
        10月1日~2月中旬/9:00~16:30
    入園料 一般/大人300円、小人150円
    団体/大人230円、小人120円
    ※観梅時間を除き、県民は開門時間から午前9時までは一律無料
    公式サイト https://ibaraki-kairakuen.jp/

    偕楽園周辺のおすすめ観光スポット

    偕楽園を訪れた際は、周辺の観光スポットにもぜひ足を運んでみてください。
    歴史好きには「水戸城跡」がおすすめ。かつての水戸藩の中心地であり、今もその面影を感じることができます。

    また、偕楽園のすぐそばに広がる「千波湖」は、水辺の風景やジョギングコースが楽しめる憩いのスポットとして人気です。

    さらに水戸市内には、徳川家ゆかりの品々を収めた「徳川ミュージアム」や、個性的な建築が目を引く「水戸芸術館」もあり、庭園と合わせて歴史や文化に触れる充実した一日が過ごせます。

    兼六園(石川県金沢市) 

    兼六園(石川県金沢市) 

    兼六園は、江戸時代に加賀藩主・前田家によって造営された大名庭園で、日本三大庭園の一つです。池泉回遊式の庭園で、広大な敷地には霞ヶ池、曲水、築山、茶屋などが巧みに配置され、四季折々の景観が楽しめます。

    兼六園の見どころ

    兼六園の見どころは、以下の通りです。

    徽軫灯籠(ことじとうろう)

    兼六園のシンボルとも言える徽軫灯籠は、わずかに傾いた脚部が特徴の二本脚の石灯籠です。この独特なデザインは、日本の伝統的な美意識である「不対称の美」を象徴していており、琴の糸を支える琴柱に似た形から名付けられました。

    霞ヶ池のほとりに佇む様子は、四季折々の景観と相まって風情たっぷりで、写真撮影スポットとしても人気です。

    唐崎松(からさきのまつ)

    唐崎松は、江戸時代に琵琶湖の唐崎から移植された黒松で、兼六園の歴史を感じる名木です。特に冬の冬季ライトアップでは、唐崎松が幻想的に照らされ、兼六園を訪れる人々を魅了します。

    瓢池(ひさごいけ)

    瓢池はその名前が示す通り、ひょうたんの形をしており、兼六園内で最も古くに造営されたといわれる池です。池の中央には中島があり、周囲の景観との調和が取れた美しいスポットとなっています。この池は、兼六園が誇る池泉回遊式庭園の中核を担う要素の一つです。

    夕顔亭

    夕顔亭は、偕楽園に現存する最古の建物で、1774年に加賀藩主・前田治脩が建てた茶室です。瓢池のほとりにあり、当時の姿を今も残しています。

    茶室内の透かし彫りにちなみ「夕顔亭」と名付けられ、三畳台目の小間ながら本格的な茶の湯にも対応しています。

    翠滝や池庭を望む開放的な造りが特徴で、藩政期の風雅を感じられる趣深い空間です。

    翠滝

    兼六園内にある、高さ約6.6m、幅約1.1mの人工の滝です。園内を流れる辰巳用水を利用しており、江戸時代中期に加賀藩によって築かれました。水音と緑の調和が美しく、夕顔亭からの眺めも見事です。

    自然美を演出しつつ、庭園全体の静寂と動のコントラストを際立たせる名所として、多くの来園者に親しまれています。

    噴水

    兼六園の噴水は、文久元年(1861年)に造られた日本最古の噴水です。

    霞ヶ池との約5メートルの高低差を利用し、自然の水圧だけで水を噴き上げる仕組みは、江戸時代とは思えない見事な技術。

    水の高さは霞ヶ池の水位に左右され、通常は約3.5メートルほど噴き上がります。

    自然の力を巧みに利用した、静かながらも見応えのある名所です。

    兼六園のベストシーズン

    兼六園のベストシーズンは春と冬です。春は3月下旬から4月上旬にかけて、園内に咲き誇る桜が見どころで、多くの花見客で賑わいます。梅やツツジも美しく、園全体が華やぎます。

    冬は雪吊りが施された松と雪景色の調和が圧巻です。兼六園ならではの風情を味わえます。特に「ことじ灯籠」や霞ヶ池周辺は、雪化粧によって幻想的な美しさに。四季折々の魅力がある中でも、この二季が特に人気です。

    アクセス情報

    項目 詳細
    住所 石川県金沢市兼六町1
    電話番号 076-234-3800
    アクセス - JR金沢駅よりバスで約8分
    - 北陸自動車道金沢森本ICより車で約20分
    開園時間 - 3月1日~10月15日/7:00~18:00(最終入園17:30)
    - 10月16日~2月末日/8:00~17:00(最終入園16:30)
    入園料 一般/大人320円、小人100円
    団体/大人250円、小人80円
    公式サイト https://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kenrokuen/

    兼六園周辺のおすすめ観光スポット

    兼六園の周辺には、金沢城公園や21世紀美術館をはじめとした見どころが多く点在しています。なかでも金沢城公園は、兼六園とともに加賀藩の歴史を感じられる壮大な名所です。

    さらに、武家屋敷跡やひがし茶屋街では、情緒ある街並みを歩きながら金沢の伝統文化に触れられ、観光の余韻を深めてくれます。

    後楽園(岡山県岡山市) 

    後楽園(岡山県岡山市) 

    後楽園は、江戸時代初期に岡山藩主・池田綱政によって築かれました。広大な敷地に池や築山、茶屋が配され、回遊式庭園として四季折々の風景が楽しめます。

    特に春の桜、初夏の花菖蒲、秋の紅葉が見どころです。園内には能舞台や養鯉場もあり、歴史と文化を感じられる名所として、多くの観光客に親しまれています。

    後楽園の見どころ

    後楽園の見どころは、以下のスポットになります。 

    流店

    流店は、唯心山の東側に位置する木造二階建ての休憩所で、文字通り水が流れる風景を楽しめる場所です。建物の中央を小川が貫いていており、日本庭園では珍しい設計になっています。

    延養亭

    延養亭は、岡山藩主の居間兼迎賓館として使われた建物で、庭園の中心的存在です。庭全体を見渡せる絶好の位置にあります。藩主はここで風景を愛でたり、賓客をもてなしたりしていました。

    唯心山(ゆいしんざん)

    唯心山は、享保年間(18世紀前半)に築かれた高さ約6メートルの築山です。園内中央に位置し、流店の隣、沢の池を見下ろすように配されています。山頂からは延養亭や芝生、沢の池、井田など園内の景観を一望でき、平坦な庭園に立体的な趣を加えています。

    井田(せいでん)

    井田は、田園風景を庭園内に再現した実際に稲作が行われる水田です。園の中央部に位置し、四角く区切られた田んぼが整然と並ぶ様子は、江戸時代の農村風景を今に伝えています。

    池田綱政が「農を尊ぶ心」を表現するために設けたとされ、観賞用だけでなく教養や思想の場としても機能しました。後楽園の自然観と理念が凝縮された、独自性の高い景観要素です。

    廉池軒(れんちけん)

    廉池軒は、園内南側に位置する茅葺きの亭舎で、築庭を指示した藩主・池田綱政が特に好んで利用したと伝えられています。建物は池に面して建てられており、沢の池や唯心山など広く園内の景勝が望め、特に水の景色に優れています。

    藩主の池田綱政が朝食をとったり、後楽園の管理にあたる奉行に褒美を渡すなどした記録があり、ここをよく利用したそうです。

    後楽園のベストシーズン

    後楽園のベストシーズンは春と初夏です。3月下旬から4月上旬には桜が園内を彩り、花見スポットとして多くの人で賑わいます。6月には花菖蒲が咲き誇り、唯心山や池と調和した美しい景観が楽しめます。

    アクセス情報

    項目 詳細
    住所 岡山市北区後楽園1-5
    電話番号 086-272-1148
    アクセス - JR岡山駅より徒歩約25分
    - JR岡山駅より岡電バスで約15分
    - 山陽自動車道岡山ICより車で約20分
    開園時間 - 3月20日~9月30日/7:30~18:00
    - 10月1日~3月19日/8:00~17:00
    入園料 一般/65歳以上140円、大人410円、高校生以下無料
    団体/65歳以上112円、大人328円、高校生以下無料
    公式サイト https://okayama-korakuen.jp/index.html

    後楽園周辺のおすすめ観光スポット

    後楽園を訪れた際には、隣接する岡山城もぜひ訪れてみてください。「烏城(うじょう)」とも呼ばれる黒い外観が特徴の岡山城は、庭園と一緒に歴史的趣を味わえます。

    庭園を楽しむためのマナー

    庭園を楽しむためのマナー

    日本三大庭園を訪れる際は、美しい景観や歴史を尊重しながら楽しむことが大切です。庭園はただの観光地ではなく、自然と人の調和を感じる文化空間。他の来園者や施設に配慮した行動を心がけることで、より深くその魅力を味わえます。

    庭園観賞を快適に過ごすための基本的なマナーをご紹介します。

    許可されている場所以外に入らない

    偕楽園・兼六園・後楽園の「日本三名園」は、藩主たちが時間をかけて築き上げた貴重な歴史庭園です。

    庭園の景観や文化財を守るため、立ち入りが許可されていない区域には入らないよう注意しましょう。

    ゴミは持ち帰る 

    庭園内には、美しい風景を楽しめる場所が随所に整えられています。

    その景観を守るためにも、ゴミは必ず持ち帰り、他の来園者にも配慮した気持ちよい環境づくりにご協力ください。

    植物や石などを勝手に触らない

    三名園にある植物や石は、長い年月と多くの手間をかけて美しい姿を完成させ、丹念に管理されています。そのため、むやみに触れる行為は避けましょう。庭園内の植物や景観は、多くの人々の心を癒す財産です。

    指定された場所以外での飲食はしない

    庭園によっては、一部に飲食可能なエリアが設けられていますが、多くの場所では景観保全のため制限されています。

    偕楽園・兼六園・後楽園などを訪れる際は、指定された場所での飲食を心がけ、庭園の美しさを守りましょう。

    リゾートバイトで三大庭園エリアを満喫する

    偕楽園・後楽園・兼六園の「日本三大庭園」は、四季折々の美しさに加え、歴史や文化を感じられる人気スポットです。

    そんな庭園の魅力を、もっと身近にじっくり味わいたい方におすすめなのがリゾートバイトです。

    庭園周辺の旅館や観光施設などで働きながら、空いた時間に名園を訪れたり、地域の暮らしや文化にも触れられるのが魅力。

    観光ではなかなか味わえない、ゆったりとした時間の中で名園を訪れることができます。長期滞在ならではの過ごし方で、歴史や自然にじっくり触れたい方にもおすすめです。

    まとめ

    国の特別名勝に指定される、日本を代表する三つの大名庭園、偕楽園、兼六園、後楽園について紹介しました。これらの日本三大庭園は、それぞれが江戸時代に造られた池泉回遊式庭園で、高い文化的価値を持っています。

    8月のリゾートバイト特集

    目次